次世代ナノ統合                           シミュレーションソフトウェアの研究開発
次世代ナノ統合                           シミュレーションソフトウェアの研究開発
トップページ

第一原理材料シミュレータQMASの開発状況と適用計算例


(産総研ナノシステム)石橋章司

1.はじめに
 第一原理電子状態計算の分野においては、近年、欧米発の使い勝手の良い計算ソフトの普及により、専門家でなくても手軽に計算を実行し結果が得られるようになってきている。当該分野の裾野の拡大を喜ぶ一方で、ブラックボックスとしてソフトが使用されることによる知識の空洞化を危ぶむ声もある。また、計算技術および計算ソフトは不断の開発・改善への努力がなされるべきものであり、それらの大部分を欧米に依存することは、望ましい事ではないと考えられる。本講演では、我々が取り組んでいる第一原理材料シミュレータQMAS (Quantum MAterials Simulator) [1]の開発状況と適用計算例を紹介する。


2.第一原理材料シミュレータQMAS
 QMASは、平面波基底とProjector Augmented-Wave (PAW) 法を用いて、密度汎関数理論に基づき、物質の電子状態および各種物性値を高精度に計算できるツールである。産総研計算科学研究部門、産総研ユビキタスエネルギー研究部門、などに所属するメンバーが、内外の幾つかの研究機関の科学者の協力も受けながら開発を進めている。「計算ツールの提供」に加え、「計算科学に関わる知識・ノウハウ・文化を共有することによる、平面波基底電子状態計算プログラム開発のための能力を維持・発展させるためのプラットフォームの提供」および「自他により開発された最先端の計算技術をいち早く導入するためのプラットフォームの提供」も念頭においている。次世代スパコンプロジェクト「次世代ナノ統合シミュレーションソフトウェア研究開発」では、分担研究課題「材料における界面とナノスケール格子欠陥の構造と特性」を担当しているが、その遂行に必要なものとして、一般的な構造最適化・電子状態計算機能以外に、以下のような特徴的な計算機能を有する:「Berry位相を用いた電子分極」、「静電場下での電子状態」、「一次元ワニエ軌道」、「原子スケールでの誘電率分布」、「エネルギー密度・応力密度」、「クーロン・カットオフ」、「陽電子状態・消滅パラメータ」、他。


謝辞
 QMAS開発メンバーの寺倉清之、香山正憲、田中真悟、田村友幸、椎原良典、小杉太一の各氏に、感謝申し上げます。


QMASで計算したダイヤモンド/BN超格子(図(a))における高周波誘電率分布(図(b))・内部応力分布(図(c))・電場誘起応力分布(図(d)) 【参考文献】
[1]
http://qmas.jp


*出典:ナノ統合第4回公開シンポジウム要旨集より。
 掲載に際しては石橋章司研究グループ長のご了承を得ています。



産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門ホームページへのリンク:
http://unit.aist.go.jp/nri/index_j.html

前へ先頭へトップページ

分子研マーク 分子科学研究所
次世代スーパーコンピュータプロジェクト ナノ統合拠点事務局
*このページ内の著作権はすべて分子科学研究所に属します。無断転載等は一切お断りいたします。