次世代ナノ統合                           シミュレーションソフトウェアの研究開発
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あいさつ

次世代ナノ統合シミュレーションソフトウェア研究開発拠点(以下ナノ統合拠点) 
拠点長・平田 文男

平田 文男

 次世代スーパーコンピュータプロジェクトは我が国がIT分野における国際的なリーダーシップを握るために「旗艦」的コンピュータを開発し、それを垂直展開することによって我が国に強固なITインフラを整備することを目指す国家プロジェクトであります。また、このプロジェクトの目的は単に「巨大なマシン」を開発することにとどまらず、同時に、我が国の計算科学における新しいパラダイムの創成を目指すものであります。

 計算科学はこれまでも物質設計や地球環境などの分野で重要な役割を果たし、社会の技術基盤の一つとして確固たる地位を築きつつあります。とりわけ、物質や生体分子の様々な機能が発現するナノスケールの現象をターゲットとする計算科学は21世紀における産業を担うべき「知的ものづくり」や個人の遺伝情報に基づく「テーラーメード医療」にとっての技術基盤として大きな期待を集めています。他方、ナノスケールの現象は伝統的な理論化学および理論物理の視点からも極めて挑戦的な課題であります。特に、量子力学、統計力学、分子シミュレーションなどの理論・計算科学的方法論にとって、これまでの枠組みを大幅に越えること無くしては決して達成しえない研究課題であります。

 以上の観点から私どもは本プロジェクトのナノ分野におけるグランドチャレンジ研究課題(*1)として、下記の3つの課題を設定いたしました。

(1) 次世代ナノ情報機能・材料
ナノ物質内の電子制御をシミュレートできる方法論を確立する。これによりボトムアップのナノテクノロジーを取り入れた新規な電子デバイスの開発基盤を構築する。

(2) 次世代ナノ生体物質
生命体を構成するナノ物質に対して、自由エネルギーレベルでの相互作用、自己組織化、また動的振る舞いをシミュレーションできる方法論を確立する。これにより次世代生命体シミュレーションのナノ基盤を構築する。

(3) 次世代エネルギー
高効率の触媒・酵素の設計ができる計算科学的方法論を確立する。これにより例えば、草木質系バイオマスからエタノールを生成するうえで本質的なプロセスである酵素反応を解明する。

 これらの研究課題は国の「重点推進4分野」の中において重要な技術・課題として位置付けられていることからも明らかなように、21世紀の「知的ものづくり」や個人の遺伝情報に基づく「テーラーメード医療」など産業・医療の技術基盤を確立する上で本質的であるばかりでなく、人類の存立基盤そのものにも関わる重要課題であり、「グランドチャレンジ課題」と呼ぶにふさわしいターゲットであると考えています。

 私どもは、これらの課題に挑戦する上で必要な新しい理論や計算科学的方法論あるいは計算プログラムを構築して参りましたが、その成果は昨年度行なわれた外部評価委員会(委員長:北海道大学魚崎浩平教授)において高い評価をいただきました。今後は2011年度のプロジェクト終了に向けて、着実に成果を結実させるため全力を挙げる所存でございます。その第一はこれまで作り上げてきた「中核アプリ」(*2)を軸とするナノ分野の「統合ソフト」(*3)の完成と次世代スパコン(実機)での試験計算の実行であります。同時に、次世代スパコン完成以前においても、外部評価委員会からのアドバイスの基づき、ナノ分野の実験研究者との共同による「アプリ実証研究」を強力に推進していく予定であります。

 これらの研究開発を通じて次世代スパコンプロジェクトの成功に貢献いたす所存でございますので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

*1:科学技術基本計画書における重点分野で、かつ、計算科学技術の成果の幅広い活用が期待されているナノテクノロジー及び
   ライフサイエンス分野を対象としたもの。
*2:中核アプリケーションの略称。
*3:次世代ナノ統合シミュレーションソフトウェアの略称。

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次世代スーパーコンピュータプロジェクト ナノ統合拠点事務局
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